ヱヴァ破

  • ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破庵野秀明/2009年
    • TMR会員13人で連れだって池袋の映画館で初回(8:00〜)を観賞。上映後は皆さん大興奮でした。個人的には……予想してたくらいの楽しさでした。
    • 良かったところ→おっぱい・おしりアニメなところ、ラブいところ(前半)、綾波が心を開いてるところ(ポカポカする)、BGM(ネタ)、予告編
      • 綾波が心を開いてるっていうのはかなり高ポイント。俺もポカポカした。綾波がデレる展開なんざ碇シンジ育成計画とかSSとかでさんざん既出やっちゅうねんという意見もあるかもしれませんが、やはり「正典」がメインヒロインルートを辿っているということに意味を見出だしたい。こういう正典重視の考えは古いのかね?
    • 良くなかったところ→マリのキャラが弱いところ、あらゆる背景を考慮せずに一本の映画として見たときストーリー展開がスムーズでないこと、シンジの鬱屈とした感じが弱まってるところ、予告編で釣ろうとしてるところ、あとアスカが式波になってるとこも
      • マリは、出来上がったヱヴァ破の中では確かに必要不可欠なキャラだったが*1、ヱヴァ序の続きの映画に絶対に必要なキャラだったと言われると疑問。パンフでもそれらしいこと言ってたけど、話題作りが最大の存在理由なのがなんとも残念なキャラだった。レイ・アスカの二人にマリを加えた三つ巴の関係を作ることで新劇場版独自の展開を作っていくのねーなるほどーとか思っていたけど、(破の時点では)そこまで重いキャラとして描かれてなくて勝手に期待外れ。
      • 「本編6点、予告編10点」的なことを言ってる人は釣られすぎです! 前回の予告の「月から飛来する〜」だって結局取って付けだったじゃん! 冷静になろう。……まあでも予告編の冬月の衣装は謎過ぎる。釣られざるを得ない。
    • 7点。次も2年後? まーたーあーうーひまでー♪

*1:そうは言っても活躍っぷりは微妙だったし(裏コード、ザ・ビースト(笑))、シンジ以外とのメインキャラとの絡みも無かったので中身スカスカ感は否めない。ただし造形はサイコウです。

ロシア革命アニメーション

  • ロシア革命アニメーション/オムニバス/1920s〜1970s
    • だわ、ばば、プイ各氏と渋谷のアップリンクXというサブカリーな映画館で。
    • プロパガンダとしてのいかがわしさがサイケな映像を通じて脳内に注がれる!というようなプログラムを期待してたけど、プロパガンダはそこまで過激ではなかった。資本主義者は皆殺シデース!くらいの攻撃的なものを期待してたので、その点ではあてが外れた感は否めない。
    • プロパガンダは内向けの啓発系が中心。少ない資本主義のバッシングも思ったよりやんやりしていて、「資本主義はこんなに退廃してるんだよ」という描き方。資本主義が退廃してるというのは資本主義社会の中でもある程度は危機意識として持たれているので、「株主」「射撃場」あたりは西側で作られたアニメとしても成立するんじゃないかしら。
    • 資本主義よりむしろファシズムが目の敵にされてた印象。ヒトラーが豚に戯画化されてたり露骨にバッシングしてた。「ファシストの軍靴に祖国を踏ませるな」!
    • サイケという面では「電化を進めよ」と「前進せよ、今がその時だ」あと強いて言えば「射撃場」。「前進せよ、今がその時だ」はポケモンショック多用しまくりで心臓止まるかと思いました。
    • ベストは「射撃場」。アニメももちろんだけど音楽が全作品の中で群を抜いて素晴らしかった。ガチガチ共産圏のアニメなのにこなれたフリージャズというのがまず驚きで、しかもただのBGMではなく、アニメの内容と展開を一致させつつ、フリージャズとしても成立させるという非常に高度な仕上がり。サントラを買うまであったが余裕がないので断念。あと「射撃場」にはかなり笑える演出があったが、具体的に書くとマジで放映中止に追い込まれかねないので書かない。劇場で確認してください。
    • イケメン革命詩人に捧げられた、「前進せよ、今がその時だ」も音楽が良かった。こっちはジャズじゃくてロック。音楽だけは資本主義っぽい。この2作はウラジーミル・タラソフという人の作品で、いずれもかなり質が高い。この人の作品が気軽にまとめて見れるようになるといいなあ。
    • 「百万長者」のストーリーが興味深いというかなんというか。「資産家の老婆が亡くなる→遺産は飼い犬に相続される→成り上がる飼い犬はついに上院議員に→悪銭って嫌ですね」ってこのお話オチてるの? 西側ではオチになり得ないことがオチになっているのが共産圏の(規範的)金銭感を反映しているということなんだろうけど、終わった瞬間はキツネにつままれた気でした。
    • 2500円分元はとれた。満足です。

観た映画×2本

  • お茶漬の味/小津安二郎/1952年
    • 奥さんツンデレ! いやー夫婦っていいもんだね。最後の二人で夜食を作るところはまさに名シーン。まるで子供がいたずらで夜中に台所に忍び込んで料理しているかのようなチャーミングさがあった。でもお茶漬け食ったあと夫婦がどうこうとごちゃごちゃ言うのは蛇足。
    • 笠智衆がパチンコ屋の主人役。珍しい配役。
    • 「ラーメンはね おつゆがうまいんです」「こういうものはね うまいだけじゃいけないんだ 安くなくちゃ」なんか孤独のグルメっぽい。
    • 食堂の名前が「カロリー軒」。カロリーという言葉が良いイメージと結びついているというのが時代を感じる。7点。
  • 楢山節考今村昌平/1983年
    • 8点。一番印象に残ってるシーンは、2代続いて泥棒が出た家の一族を夜中に襲って生き埋めにするシーン。共同体の構成員全員で処刑を行うようなシーンでは、一人一人は共同体の熱に浮かされた状態で描かれることが多いけど、このシーンでは全員が黙々と一家に土をかけていて楽しそうな顔をしてる人は一人もいない。かといって悲しそうな顔をしてるわけでもなく、全員が淡々と村の機能の一部として働いている。
    • 村社会と構成員の排除というテーマを扱っているという点は「蔵六の奇病」と似ている。ただし、「蔵六」と「楢山節考」では排除の仕組みの担う役割が違う。蔵六を殺すことはあくまで突発的な災厄の排除であり、「蔵六の奇病」の中では排除の仕組み自体はあまり問題にならない。「楢山節考」の場合は70才になったら山に捨てられるというシステムが老婆を殺すのであり、その冷厳さに感動のポイントがある。

観た映画×1本

  • お早よう/小津安二郎/1959年
    • 珍しく子供にスポットがあたっている作品。子供たちの中で「額をつつかれるとオナラを出す」というのがはやってるんだけど、そのシーンの度に「プゥ」っていう効果音が入るのが実にバカバカしくてよい。で、上手くオナラをだせなくて、出そうとする度に実を出しちゃうやつがいるんだよねー。母親に「パンツ洗うために洗濯機買ったんじゃないよ!」って怒られて。その度に笑ってしまう。世界の小津がウンコネタなどという超ベタな手を使って笑わせてくるのが意外だった。
    • 子供の演技はおそらく下手なんだけど*1、演出がすごくファニーで、子供らしさが活かされてて良かった。
    • 「無駄口を叩くな!(大意)」と笠智衆に怒られた男の子が「大人だって無駄なこと喋ってるじゃないか おはようとか いい天気ですねとか(うろ覚え)」と言って一言も喋らなくなり…というのが大きな筋書で、それ自体は子供らしいささやかな抵抗に思えるんだけど、その子供の言葉が最後の方の佐田啓二と娘役のどうでもいい会話につながってきて、そのどうでもいい会話がものすごく爽やかなものとして見せることに成功している。わかりやすくて微笑ましくて、この映画かなり好きです。8点。
    • 佐田啓二のかっこよさは異常。

*1:もしかしたら、当時の小中学生はあのように振る舞っていたのかもしれないけど。

10段階評価について

僕は漫画や小説や、まれに音楽や映画に対して10段階の評価を付けますが、それについて少し書きます。
まず、なぜ10点満点なのかについて。これは主に(ファミ通クロスレビューにインスパイアを受けた)TMRのレビューで10点満点のレビューをしてきたことに由来してますが、それとは別に、10点という幅が使いやすいというのも理由の一つです。
5点満点のレビューは点数で表現できる幅が狭い。だいたいの作品が2〜4の間に分布して、点数の意味が薄れます。また、最低点・最高点が割に頻繁に現れることで、最低点・最高点の価値が薄れることが予想される。
じゃあ幅が広ければいいかと言えばそうとも限らない。100点満点でレビューをするとして、自分に1点単位の精度でで作品の面白さを見極めれるとは思えない。また、作品の評価はその時点での心境や読んだことのある本・聴いたことのある音楽などに左右されるもので、1点単位の点の変動は容易に起こりうる。あとから見て「この作品があの作品より点が低いなんて!」という事態が絶対に起こる。
10点満点は、評価対象の面白さorつまらなさを十分に表現でき、かつ心境の変化などで作品の評価が変わっても点数への影響が出にくい。そのあたりを買って10点満点のレビューをしてます。
10点満点でレビューをするにあたって、「世にある作品の点数の平均は5.5点である」ということを念頭に置いています。また、3点には「駄作の壁」、8点には「名作の壁」が存在していると仮定し、自信を持って誉めれるor貶せる作品しか壁を越えた点数をつけないようにしています。
10点満点の点数はだいたい以下のような表現での評価に対応しています。

ちなみに、このブログで点を付けてる作品の平均値をとるとおそらく5.5点を越えると思いますが、それは僕が面白そうな物を選んで読んでいるからです。
点数を付ける際は、基本的に客観的な判断の方が重視されます*1。だから低い点が付いてても個人的に好きという作品は存在し得ます。例えば、かどのゆたか『地獄の馬券師』は好きなトーエンコミックスランキングで確実に5位以内です。

*1:そうは言ってもなんだかんだで主観は排除できてないが

インスタント沼

  • インスタント沼三木聡/2009年
    • う〜んやられました! 「三木聡が絡んでるものは全て面白い」という神話が自分の中で崩壊した。
    • ところどころ笑いも起こっていたけど、問題は笑いの中心に麻生久美子がいないことだよね。ていうか麻生久美子の演技がねー。正直さむかったねー。受け入れることができなかった。わがままな女が嫌いなだけかもしれないけど。
    • ラストはCGでごまかしたという印象。オチをつける、あるいはそれまでの流れをひっくり返すには至っていない。しかもラストでみんながなんとなく幸せになる物語的な必然性が薄い。
    • 3,4点。人を連れていかず一人で見て良かった。
    • 因みに他の三木聡映画は、
    • くらい。見事に期待を裏切られた。

借りたDVD×6枚

とりあえずHDDに蓄積だ。