ロシア革命アニメーション

  • ロシア革命アニメーション/オムニバス/1920s〜1970s
    • だわ、ばば、プイ各氏と渋谷のアップリンクXというサブカリーな映画館で。
    • プロパガンダとしてのいかがわしさがサイケな映像を通じて脳内に注がれる!というようなプログラムを期待してたけど、プロパガンダはそこまで過激ではなかった。資本主義者は皆殺シデース!くらいの攻撃的なものを期待してたので、その点ではあてが外れた感は否めない。
    • プロパガンダは内向けの啓発系が中心。少ない資本主義のバッシングも思ったよりやんやりしていて、「資本主義はこんなに退廃してるんだよ」という描き方。資本主義が退廃してるというのは資本主義社会の中でもある程度は危機意識として持たれているので、「株主」「射撃場」あたりは西側で作られたアニメとしても成立するんじゃないかしら。
    • 資本主義よりむしろファシズムが目の敵にされてた印象。ヒトラーが豚に戯画化されてたり露骨にバッシングしてた。「ファシストの軍靴に祖国を踏ませるな」!
    • サイケという面では「電化を進めよ」と「前進せよ、今がその時だ」あと強いて言えば「射撃場」。「前進せよ、今がその時だ」はポケモンショック多用しまくりで心臓止まるかと思いました。
    • ベストは「射撃場」。アニメももちろんだけど音楽が全作品の中で群を抜いて素晴らしかった。ガチガチ共産圏のアニメなのにこなれたフリージャズというのがまず驚きで、しかもただのBGMではなく、アニメの内容と展開を一致させつつ、フリージャズとしても成立させるという非常に高度な仕上がり。サントラを買うまであったが余裕がないので断念。あと「射撃場」にはかなり笑える演出があったが、具体的に書くとマジで放映中止に追い込まれかねないので書かない。劇場で確認してください。
    • イケメン革命詩人に捧げられた、「前進せよ、今がその時だ」も音楽が良かった。こっちはジャズじゃくてロック。音楽だけは資本主義っぽい。この2作はウラジーミル・タラソフという人の作品で、いずれもかなり質が高い。この人の作品が気軽にまとめて見れるようになるといいなあ。
    • 「百万長者」のストーリーが興味深いというかなんというか。「資産家の老婆が亡くなる→遺産は飼い犬に相続される→成り上がる飼い犬はついに上院議員に→悪銭って嫌ですね」ってこのお話オチてるの? 西側ではオチになり得ないことがオチになっているのが共産圏の(規範的)金銭感を反映しているということなんだろうけど、終わった瞬間はキツネにつままれた気でした。
    • 2500円分元はとれた。満足です。