観た映画×2本
- お茶漬の味/小津安二郎/1952年
- 楢山節考/今村昌平/1983年
- 8点。一番印象に残ってるシーンは、2代続いて泥棒が出た家の一族を夜中に襲って生き埋めにするシーン。共同体の構成員全員で処刑を行うようなシーンでは、一人一人は共同体の熱に浮かされた状態で描かれることが多いけど、このシーンでは全員が黙々と一家に土をかけていて楽しそうな顔をしてる人は一人もいない。かといって悲しそうな顔をしてるわけでもなく、全員が淡々と村の機能の一部として働いている。
- 村社会と構成員の排除というテーマを扱っているという点は「蔵六の奇病」と似ている。ただし、「蔵六」と「楢山節考」では排除の仕組みの担う役割が違う。蔵六を殺すことはあくまで突発的な災厄の排除であり、「蔵六の奇病」の中では排除の仕組み自体はあまり問題にならない。「楢山節考」の場合は70才になったら山に捨てられるというシステムが老婆を殺すのであり、その冷厳さに感動のポイントがある。