観た映画×2本

  • お茶漬の味/小津安二郎/1952年
    • 奥さんツンデレ! いやー夫婦っていいもんだね。最後の二人で夜食を作るところはまさに名シーン。まるで子供がいたずらで夜中に台所に忍び込んで料理しているかのようなチャーミングさがあった。でもお茶漬け食ったあと夫婦がどうこうとごちゃごちゃ言うのは蛇足。
    • 笠智衆がパチンコ屋の主人役。珍しい配役。
    • 「ラーメンはね おつゆがうまいんです」「こういうものはね うまいだけじゃいけないんだ 安くなくちゃ」なんか孤独のグルメっぽい。
    • 食堂の名前が「カロリー軒」。カロリーという言葉が良いイメージと結びついているというのが時代を感じる。7点。
  • 楢山節考今村昌平/1983年
    • 8点。一番印象に残ってるシーンは、2代続いて泥棒が出た家の一族を夜中に襲って生き埋めにするシーン。共同体の構成員全員で処刑を行うようなシーンでは、一人一人は共同体の熱に浮かされた状態で描かれることが多いけど、このシーンでは全員が黙々と一家に土をかけていて楽しそうな顔をしてる人は一人もいない。かといって悲しそうな顔をしてるわけでもなく、全員が淡々と村の機能の一部として働いている。
    • 村社会と構成員の排除というテーマを扱っているという点は「蔵六の奇病」と似ている。ただし、「蔵六」と「楢山節考」では排除の仕組みの担う役割が違う。蔵六を殺すことはあくまで突発的な災厄の排除であり、「蔵六の奇病」の中では排除の仕組み自体はあまり問題にならない。「楢山節考」の場合は70才になったら山に捨てられるというシステムが老婆を殺すのであり、その冷厳さに感動のポイントがある。