読んだ本×2冊

  • 筒井康隆『銀齢の果て』(308p)
    • 〜P308。読了。
    • 筒井康隆がこのような設定の小説を書くこと自体にはもはや驚きは持てないけど、それは置いといて老人がばんばん殺し合う小説を老人が書くというのは面白いよね。そこが笑いどころなのだよね。
    • そういう小説の外の面白さに小説自体の面白さが勝っているかは疑問。きちんと書けば書くほど設定のアラが露呈してしまうのは誰の目にも明らかなのでざっくり書くのが正解なのかも知れないが、それにしてももう少しきちんと構成してドラマを作って欲しかったなー。やや適当感は漂う。
    • とはいえやはり老いても筒井康隆、急な場面転換や一本調子の長い独白に代表される筒井節は健在で、別段ドラマチックな展開も無しにじじばばの殺し合いのシーンの連続だけで300pも間を持たせるのはすごい。そしてきれいな締め、やっぱり小説を書くのが上手い。7点。
  • 万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(240p)
    • 〜P240。読了。
    • ページ数やレーベルや主人公の年齢から10代前半向けと推測して、自分がストレートに楽しめないと思いこみながら読み始めたけれどそんなことはなかった。子供に向けられた物語ではある*1ものの、大人でもしっかり楽しめる。
    • デビューしたはじめから万人が楽しめるものをかける人だなー。これをポピュラリティと呼ぶのだなあと思う。誉めている。筒井みたいに勘所を押さえるタイプの小説の上手さじゃないけど、この人もまた小説の上手さを感じる。8点。

*1:複数の視点から物事を語るというちょっとテクニカルな書き方を使っているけど、あまり複雑な構成にはなっておらずやや抑え目の印象がある。それは多分子供にもわかるようにということ、なのだと思う。