読んだ本×2冊

  • ダン・シモンズハイペリオン』下巻(478p)
    • 〜P478。読了。
    • ハイペリオン』といえば長門!と現代日本の一部では残念な受容のされ方をしている本作ですが、アニメの中で小道具として使われているだけでなく、ハルヒと『ハイペリオン』は実は話の構造が似ている、というより谷川流がおそらくオマージュとしてそのような構造をとっているというのがわかったのがまず収穫。ハルヒシリーズでは涼宮ハルヒという謎に各組織がそれぞれの思惑を持って接近していて、それに主人公であるキョン(さらには他の3人)が翻弄されるわけだけど、これは実は『ハイペリオン』でも同じ。ハイペリオンという惑星の謎に、高度に発達したAI群である《テクノコア》*1ホモサピエンスとは派生して進化した人類・《アウスター》、人類の政府《ウェブ》らの各種団体の思惑によって主人公たちはハイペリオンへの巡礼の旅に出ることになる。ほらハルヒとおんなじでしょ?
    • まあハルヒはおいといてもとても面白いSF、というよりとても面白い物語です。90年代最強はだてじゃなかった。それまでの歴史に存在したなんやらかんやらのSF要素となんやらかんやらの物語形式をあますことなく話に投入してそれまでのSFの総決算を作るという試みがまずすごくて、それが成功しているのがもひとつすごい。確かに話の構造はとても単純で、あらすじを進めるパートに各巡礼者がここに来た理由の告白をはさんでいるだけと形式自体は工夫もへったくれもないのだけれども、告白の形式の多彩さ・告白によってハイペリオンの謎が少しずつ明かされていくのが快感でハマったら一気に読める。実際には旅行中ということもあって一気には読めなかったけど。本当は間を挟まずに一気に読みたかった。
    • 好きな話の順番は、学者>司祭≧領事>>詩人>>軍人>探偵。学者の話はまあ鉄板ですよね…。司祭と領事はかなり競るけど、司祭の話にただよう「モロー博士の島」感が好み。領事は話としても面白くてさらに重要なのでこのくらいの位置。そこから一段落ちて詩人(それでも十分に面白い)。軍人は読んでたときは面白かったけど、振り返るとそんなに面白くないかなあ。探偵は、読んでた時期が細切れだったこともあり、話をしっかり追えてないのでこの順位。重要さだと6つの話の中でも一番なので、没落を読む前に読み返したい。
    • 終わり方、というか続編へのつなぎ方もいいですよね。虹の彼方に。
    • 8,9点。長いのが苦にならない。
    • 次に読むのはジョン・クロウリー『エンジン・サマー』(472p)だけど、『ハイペリオンの没落』も早く読みたい。
  • ジョン・クロウリー『エンジン・サマー』(472p)
    • 〜P20くらい

*1:テクノコアは手先として詩人のジョン・キーツを模したアンドロイドを使っていたりする。長門