第1回所沢ビエンナーレ美術展 引込線

学校の集中講義の一環で、所沢で開かれてる現代美術の展覧会に行った。会場は所沢駅から徒歩3分の西武電鉄の車両工場跡。展覧会の名前の「引込線」はそこに由来している。工場マニアなら勃起が止まらないであろういい感じの会場でした。今は西武デパートの流通センターとして使われてるらしいが、今の時期はちょうどお中元とお歳暮の間の時期で場所が空いていたそうな。
50代の男性出品者が解説として着いて回ってくれた。その人自体の作品はイタリア未来派100周年へのオマージュで、その作品からも分かるように、自ら前衛の地平を切り開くという感じ人ではなかった。そういう人なので、よくわからない感じの作品には「作者曰く○○らしいけど、よくわからない(笑)」くらいのスタンスで解説してくれて心強かった。
他の出品者も、会場にいた人は自身の作品を解説してくれたけど、「メディアの関係の揺らぎが〜」とか「私自身はそういった物語は想定してなくて〜」とかどこかで聞いたような解説で、正直言ってわかった気にはならなかった。鑑賞者がパッと見で美しさを感じられない類の現代美術は、裏に理論が見えなければ廃材と区別出来ない。その点、理論的裏づけを感じられないのはまずいなあと思った。
まあ、現代美術家本人に解説を頼むというのも、普通の人に「今の冗談はどこが面白かったんですか?」という質問をするのとある種同じような意味を持つお行儀の良くない行為だとは思いますが…。解説がないと確実に素通りしてしまうような展示もあったけど、現代美術やり込み勢はしっかり勉強して理解出来るようになるということなのだろうか。
個人的にグッと来たのは、森淳一、下道基行、高見澤文雄、橋爪彩、各氏の展示あたり。特に森淳一さんの展示はすごくよかった。架空の蛇っぽい生物の骨格を一木彫りで作るという作風なんだけど、それが尋常でなく細かくて、作り手のある種狂気にも似た作品への思いが伝わってくる。
個人的には、やっぱりコンセプチュアルなものよりも見てパッとすごさ・美しさがわかるものの方が好みみたいです。
会期は9月23日まで。入場無料なので、所沢近辺に住んでる人は是非。