読んだ本×2冊(ちょっとだけネタバレ)

  • 村上春樹羊をめぐる冒険』上巻
  • 万城目学プリンセス・トヨトミ
    • P7〜P504
    • とりあえずタイトルのセンスが素晴らしい。
    • 読みやすいのも確かだけど、読ませる力が大きい。1ページの中でたくさんのことをやろうとしていて、しかもそれとない形でできているので読者が読んでいて飽きる隙がない。
    • テーマは子供と父親、あるいは姫と騎士。前者に対してはしんみりさせられるものがあるが、後者に対しては話の解決が主人公の成長ではなく環境の変化によってもたらされるのでしっくりこない部分がある。主人公がリボンの騎士状態で、騎士なのに男らしく成長させられないのがネックになっている。ていうか性同一性障害設定って必ずしも必要ではないんじゃないのか? あと「外では話さない」ルールがかなりないがしろになっている気がするなあ…。「国」を名乗る必然性は?とかいろいろ細かいところで引っ掛かっちゃうのが残念。
    • 「絶対この秘密は洩れるよ。納得出来ん」という感想があると思う。ていうかそういうの見た。このレベルの大きさの秘密は普通なら必ず洩れると思う。でもこのお話においては、「すごい!秘密が洩れてない!素敵!」と思って欲しい。きっとこれまで秘密が洩れなかった裏には素敵な超自然的力が働いているんですよ。そう考えると終盤の動画流出→削除のくだりもかなり素敵なエピソードになる。
    • 物語において受け入れれるオカルトの量・種類は人によって変わってくるし、対象への愛にも関わってくると思うので*1、そこに引っ掛かっちゃう人が楽しめないのは残念ながら仕方がないことだと思います。まあ『プリンセス・トヨトミ』の場合たいていの人は問題なく読めると思いますが。
    • いずれにせよ面白いです。ウソ歴史サイコウ!大阪サイコウ!7点か8点!
    • 次は『羊をめぐる冒険』下巻、グレッグ・イーガン『TAP』、借りた本を並行して。

*1:亜空間理論は受け入れられないけど、ドラえもんは受け入れられるという人は世の中に大勢いる。全てのオカルトをただオカルトだという理由で斥けてしまう人は世の中にはあまりいない。