TMR会員5人とポニョを見る
- 崖の上のポニョ/宮崎駿/2008
- というわけでTMR会員5人(だわ、シノ、緑虫、光彦、一式)でポニョを見てきた。感想を書きたいけど何から書けばいいのかわからない。とりあえず主にまだ見てない人に向けて箇条書きで書く。
- 竹熊健太郎も言っているが、「過去のどの宮崎アニメとも似ていません」。強いて言えばトトロ? トトロからイデオロギーとメッセージ性を抜き取ったらきっとこんな雰囲気の映画になる。
- 先入観を持って見てはいけない。ただ映画の流れに任せて見る、思考は最小限に抑える、それがこの映画の正しい見方。
- この映画はいわば、「話のうまいボケじいさんの話すおとぎ話」。何も考えず、ただうんうんと頷きながら話の面白さに身をゆだねよう。
- この映画はストーリーとしておかしいように感じたり、つながりがうまくないように思えたりする部分がたくさんあるが、突っ込んではいけない。桃太郎や浦島太郎につっこみを入れないのと同じで、この映画にもやはりつっこみを入れてはいけない。
- この映画は夜見てはいけない。休日の昼間に見なければいけない。上映中に聞こえる子供たちの声まで含めて楽しむべき映画だと思う。
- この映画はあからさまに子供向け。家族で楽しめる映画を提供してきたスタジオジブリが作ってしまった、家族で見てはいけない映画「ゲド戦記」に対する反省・回答の意味は大いにあるだろう。僕がゲド戦記を見たときは子供が怖さのあまり泣いているのが聞こえた。対してポニョは徹底的に子供向け。これまでのジブリ映画のように「大人も子供も」楽しめる映画ではなく、「子供しか」楽しめない映画だ。大人はこの映画を楽しむために子供にならないといけない、大人の機能を停止させないといけない。
- 子供向けという狙いは成功しているように思える。僕が見たのは日曜日の午前11時過ぎだったわけだが、子供はなくべき所*1で泣いていたし、ポニョが出てくるところでは子供がポニョの名を呼んでいた。だわさんは「ポニョで泣くよりゲドで泣いてトラウマを作ったほうがいい」といったことを言っていたが*2心が汚れているとしか言いようがない。
- 子供たちがこの映画にのめりこんだ要因としてテレビCMの効果は大きなものだったと思う。CM放映は2週間ほど前からだったと思うが、その期間で日本中をポニョポニョ言わせた鈴木敏夫の手腕はやはりすごい。
- この映画は、たとえば「千と千尋の神隠し」などのように現実界と異界をさまよう映画ではなく、はじめから現実と異界が混ざっている話。そういう話は決して映画としてありえないわけではないが、普通映画でそういう話を扱う場合は、「この現実と異界が混ざる話だ」というテーマ立てが行われることが多いような気がする*3。あくまでどこかに現実界と異界を分ける線が存在する。この映画はそれがない。
- ただし、主人公と母親(CV/山口智子。サイコウ。このキャラがポニョの中で一番好き。運転はヤバ過ぎだけど。このキャラをもう一度見るためにももう一度見に行きたい。)の絆だけは確実なリアリティーをもっていた。家族の絆というものは僕が持っていないものの最たるなので心に響いた。父親(CV/長嶋一茂)はいなかった(笑)
- 叔母さんといとこ(5歳)が今度見に行くらしいので感想を心待ちにしている。
- とりあえず、まだ見てない人は一度見てみることをオススメします。この映画を見て、短いスパンであなたが幸せになれるかはわからないが、長いスパンで見れば損にはならない映画だと思います。
- 10点満点評価で8点か9点。あと2回は見に行きそう。