読んだ本×3冊

  • 佐藤友哉デンデラ』(331p)
    • 〜P331。読了。
    • 姥捨て山に捨てられたババアたちは、実は山奥にコミュニティを作って生きていた!そこに住む50人のババアたちが羆と戦う。という話。登場人物は全員性器が癒合して穴がなくなっててもおかしくないくらいのガチババア。最年少の金田ミツギたん(羆に食われて死亡)ですら62歳というババア萌えにはたまらない設定です。
    • 設定にリアリティを持たせるという点から見ると、描写には難がある。名前も「斉藤カユ」とか「桂川マクラ」とか、フルネームが基本。カタカナの名前だけだと読者が意味わかんなくなっちゃうからという制約が影響しているんだと思うけど、全員を苗字持ちにする事によって話の時代が維新後に確定してしまい、「維新後に姥捨てをしてる村とか存在してたの?」という疑問を読者に持たせてしまうという弊害がある。また、口調なんかもあんまりババアっぽくなくて「〜ですよ、○○さん。」みたいな、どこの宦官だよみたいな話し方をする人もいる*1。いちおうババアがしゃべりそうな言葉を選べるときはそっちを選んでるみたいだけど、たまに「維持」とか「安寧」とかババアがしゃべらなさそうな言葉が混入してたりしたりする。
    • このような書き方によって描写の面でのリアリティは損なわれているが、その分派閥や主義・主張が明確になっていて生きること・死ぬことについての思考実験小説としての面は際立っている。特に、主人公があまったれの理想主義者なあたりが巧い。主人公が誰彼構わず文句をつけるので、各住人の立場が明確になり話を頭で整理しやすいようになっている。
    • 毎日働くだけで何が楽しくて生きてるんだかわからない*2ババアたちが、ただ生きるために羆と戦う、と言う設定によって、根源的な生きるエネルギーのようなものを本の隅々まで行き渡せることに成功している。終わり方もババアがそんなに走れるかよ、というツッコミをいれつつも生きるエネルギーに満ちたいい終わり方。
    • 考えはじめるとダメなところが見えてきてしまうけど、そういう理屈の部分を超えて楽しく読ませる力がある小説。筆力がある小説ってやつ。
    • 8点。リアリティを追求してこのテーマを書き切れたら神だが、そこまで要求するのは酷。
    • 次に読むのはフリッツ・ライバー『跳躍者の時空』(382p)。
  • フリッツ・ライバー『跳躍者の時空』(382p)
    • 〜P84
  • 谷川流涼宮ハルヒの憂鬱』(307p)
    • 〜P120くらい

*1:「やりすぎですよ、ジョフリーさん。」的な

*2:人によっては村への復讐を考えてたりもする