読んだ漫画×4冊

  • 内田善美『星の時計のLiddel』全3巻
    • まんだらけで買ったとき、「難解」という類いの言葉を使って紹介されてたけど確かに難解でした。親友が何度も見る夢の中に出てくる家を探しに旅に出る、というのが大枠の話だけど、その間に話される物語のディテール(というよりも背景、背景のさらに後ろにある背景、そのさらに後ろにある背景、ネームによって物語をどんどん奥行きのあるものにしていこうという狙いが見えた)の情報量がすごい。
    • 漫画としての完成度はたいへん高く、少女漫画的コマ運びの一つの完成形とみなせるかもしれない。
    • 理解できてる気は全くしないけど8点。大枠はつかめたのでまた再読する。
  • 杉浦茂イエローマン 杉浦茂シュールへんてこりん傑作集』
    • これはスゴいな。変な漫画というより、漫画としての在り方が他の漫画と全く違う。完全にシーンやキャラクターを描きたいという欲求から出発してて、ストーリーを描こうという欲求がほとんどない。少なくとも、ストーリーそのものを工夫しようという気は全くなくて、ストーリーはそれこそ桃太郎や浦島太郎のような昔話くらいにひねりのない素直なものになっている。絵に特化したりしてストーリーが軽視されてる漫画の例はけっこうあるけど、ここまで徹底的にストーリーを軽視した漫画はあまりないんじゃないかな。
    • シーンがいきなり変わったりキャラが多かったりキャラが唐突に変身してたりして、ひとつながりの物語として読むのがすごく難しい。この漫画を読むには「杉浦茂の漫画の読み方」を習得する必要があるのだろう。
    • 映画のシーンやSFへのこだわりが偏執的で、かつ表現技術とのつり合いがとれておらず、なんだかアウトサイダー・アートが持つようなマジモンの迫力がある。
    • 7点。他の作品も読んでみる。