読んだ本×1冊

  • 村上春樹世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』下巻
    • 〜P347。読了。
    • 「世界の終り」「ハードボイルド・ワンダーランド」どちらのパートも面白かったんだけど、特に「世界の終り」の方が心に沁みた。「村上春樹のメッセージが、君に届くか!?」と推理小説みたいな煽り文が付されてたんで自分なりに解題。壁=The System(イスラエルの講演での比喩と同じ意味)、壁に囲まれた街=近代社会、影=超越しようとする心象と読んだんだけどみんなはどう? そうすると、壁の中で心を失って暮らす=近代社会の中で従来の意味での人間性を失って暮らす、となって、壁の中で心を失わず悩みながら暮らす=システムに魂を売り渡さず近代社会の中で人間として暮らす、という強いメッセージが読み取れる。
    • 『限界の思考』風に言うと、「社会から逃げようとする(超越系)でもなく、何も考えずに社会に従う(無自覚な内在系)でもなく、人間でありながら社会の中で生きろ(自覚的に内在系になれ)。終わりなき日常を生きろ」的な?
    • つーわけで、「世界の終り」は自分の悩みに近い部分で話をしてたんで楽しく読めた。じゃあ「ハードボイルド・ワンダーランド」がどうだったかと言うと、「世界の終り」のような意味では身になる訳ではなくて、面白くはあるけどそれ以上の価値はあまり感じることができんかった。あと普通に「ハードボイルド・ワンダーランド」の主人公かわいそすぎ。二つのパートの繋がりは読めてる部分もあるけど読み飛ばしてる部分もきっとある。
    • 7,8点。「大江でいうところの万延元年」と言われて期待しすぎた。
    • 次に読むのは長嶋有『ねたあとに』。本文333p。